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特集・企画

2023.03.23

若者を囲む ”カフェ” と ”街の人” と ”サンカクシャ” の ”△サンカク”な関係 〜傷つきながら自立していく姿を見守る〜

カフェ・ポート・ブルックリン オーナー 関根さんインタビュー

駒込駅から徒歩約3分、桜の名所六義園にほど近いカフェ・ポート・ブルックリン。3月下旬の休日には、お花見に来たお客さんで行列ができていました。
看板メニューの国産そば粉を使ったガレットは、サクサク感ともちもち感が同時に楽しめる人気の一品です。

スモークサーモンとアボカドのサラダガレット

居心地の良いこのカフェのオーナー関根健人さんは、サンカクシャと若者を応援してくれている力強い存在です。

関根さんのカフェでサンカクシャの若者がアルバイトをするも諸事情から退職してしまったのですが、その後も温かく若者を見守ってくださっています。そんな関根さんに、若者の居場所「サンカクキチ」にお越しいただき、お話をうかがいました。

アルバイトでお世話になったA君、代表の荒井、社会参画担当の宮本も同席して、話題は関根さんの挫折経験から、カフェに込める想い、若者に伝えたいこと、サンカクシャと街の人の関係にまで広がっていきました。

ーまずは、サンカクシャを知ったきっかけを教えてください。

関根さん(以下敬称略):荒井さんと僕の共通の知り合いのレストランで、深夜に僕の誕生日パーティが催された時に、荒井さんが居合わせたのが出会いですね。その後、あるイベントで宮本さんと会う機会もあって、少し後にお店に来てくれたんです。

宮本:私がお店にランチをしに行った時にアルバイト募集広告を見て、「サンカクシャの若者をぜひ!」と思ったんです。それからすぐに話が進みました。

Aくん:実は、面接前にひとりでカフェに行ってガレットを食べたんです。それまであまりガレットを食べたことなかったので、新鮮で感動して「ここで働きたい!」と思って、面接をしてもらいました。自分は怖がりなんで緊張しましたが、関根さんは落ち着いた方だなと思って安心感がありました。

関根:僕は、Aくんは真面目な男だなという印象を持ちました。自分に自信がないからちょっと緊張するのかなとも思いました。
バイト初日に荒井さんとはまーさん(居場所担当の早川)が様子を見に来てくれたよね。
Aくんとは、仕事を教えながら暇な時間に、生い立ちの話など聞きつついろいろ話しました。見ていて、内面的に感じたこと思ったことを受け入れられていないと感じて、それができて自分を好きになれたら他人も好きになれるのではないかと思いました。 

Aくん:業務以外のこともたくさん教えてもらいました。

ーお店のスタッフと接する上で心がけていることは?

関根:会社として地域に貢献するという考えを持っています。貢献の仕方はいろいろありますが、スタッフが、働くことが楽しい、幸せと感じてもらえる職場にするということを一つの理念としています。ひとりひとりのスタッフに丁寧に接することで従業員同士の繋がりも強くなり、チームワークもよくなって、業務も円滑にまわるようになります。

スタッフの歩き方や顔でその日の調子がわかるので「何かあったの?」と聞いて欲しいのかそうでないのか様子を見つつ声をかけます。

カフェというのは、街との接点が生まれやすい場ですから、働いている側も街の人たちとつながれるという機能があります。そこからコミュニティが広がり、そんな繋がりから声がかかって、巣鴨に2店目(カフェ・ポート・グラスゴー)を出しました。今は3店目の開店準備をしているところです。

ーお店の名前に入っている「ポート」という言葉に込めた想いは?

関根:港は、ものや価値観、サービスなどいろんなものが交換され、そこから新しいものが生まれるところ、時代が進化する始まりの場所です。僕のカフェもそういう場所にしたい。人が美味しいものを食べて元気になると、街も元気になる、地域が元気になる、そして日本が元気になる。ミクロのところから細胞を活性化させて広げていくイメージでやっています。

今の日本は、少子高齢化で税金は増えるし、暗い話ばっかりで、「日本に未来はない」とか「社会は冷たい」とか、暗い気持ちになってしまう若者が多いと思います。そうではなくて、自分たちの力で未来を変えることができるということを行動で示したいです。

大人が背中を見せることで、若者たちがついてくる、そういう波に乗せることで閉塞的な未来を少しでも明るい方向に持っていきたいです。最初から負けると思っていたら負けるんですよね。だから自分たちでできるという実感をつかんでほしいですね。

ーカフェをやりたいと思ったのはなぜですか?

関根:大学2年の頃からカフェをやってみたかったんです。

大学のゼミの先生が厳しい方だったんですが、自分の生き方をよく考えた方が良いと常々おっしゃていました。僕は、自分の力で家族、友人など自分の守りたいものを守れる人間になりたいと考え、大企業で働くより、独立したいと思ったんです。

それで、最初はカフェをやる創業資金のために家事代行サービスの会社を大学のキャンパスのある群馬県で運営したんですが、結果として300万円の借金をつくって撤退しました。

24歳で絶望感満載で実家に帰りました。追い詰められてご飯の味がしない毎日だったのですが、実家のご飯を食べたらめちゃくちゃうまい。食べることによって気持ちが元気になり自分の感覚を取り戻せたので、やっぱりカフェやりたい、やり直そうと思いました。

それで、バイトでカフェを運営する会社に入りましたが、最初はオドオドしてしまい「使えないから後ろに行ってろ」と言われて、向いてないのかなと思ったりもしました。でも、昨日よりは今日できるようにと毎日小さな目標を立てました。今日はカフェラテ、明日はレジ打ちというように。コーヒーの知識も身につけたいと思い、コーヒーマイスターの資格を取得しました。

そうしたら社長の目に留まり、新宿店の店長として正社員になりました。そこで売り上げを上げるためにどうするか、ありとあらゆることを勉強しました。サービス、もの、人、金、どこをどう変えたら良いのか考え尽くし、売り上げを2倍にしました。3店舗を統括するエリアマネジャーとなり、その後、レストラン併設型の店舗で調理の勉強もして、5店舗を統括していたのですが、30才で、借金も返したので独立のために退職しました。

カフェの場所を探すにあたり、16,000件の候補をリサーチしました。たまたま駒込の物件を知って、現地で朝から晩まで通行人数を数えました。入店率3.6%としてあらゆる計算をして黒字に持っていける見込みが立ったので、最終的に決めました。それでも最初は赤字続きで、ようやく黒字になったところでコロナに。負けるわけにいかないと踏ん張りました。

ー働くことに自信がない若者へのアドバイスをお願いします。

関根:希望を失わないことですかね。絶望感に取り憑かれたら何もできなくなる。Aくんにも言ったけど、そのために自分が何を好きなのか、何を大事にしたいのか理解することが必要で、そこからどうしたいというのが出てきて希望に繋がる。だから自分自身との対話をしてほしいです。

日本は、人に迷惑かけないように、失敗しないように、あれもこれもだめと親が枠をつくってしまいがちです。子供が自分自身の力で自立していくためには、守るだけでなく実際に旅をさせて傷を負わせながら成長させるということが必要だと思います。傷つかない程度の学びはその程度の学び、生きる力はそんなに簡単なものではない。

だから傷つく経験が大事です。社会には冷たい人もいるけど、温かい人もいて、サンカクシャのように支援してくれる人もいる。客観的に自分自身の人間性を理解して、傷つきながら前に進めと言いたいです。

Aくん:関根さんの熱い想いに感化されました。自分は悲観的に物事をたくさん考えてしまうんですが、こういう話を聞けるだけでも前向きになれる気がします。

ーサンカクシャについてどう思われますか?

関根:今の日本社会は若者たちの面倒を見るほど余裕のない人がほとんどだと思います。社会を因数分解したら結局人なんですよね。1人が苦しいと繋がりのある人も辛くなっていく、そしてネガティブな感情の連鎖が広がってしまうんですが、今の社会はそれをみないふりしている面がありますね。

サンカクシャの活動は、そういうところをすくい上げている活動。行政のフレームワークでは守れない若者たちを拾い上げて何とかしようと大変な思いをされていて、すごいことだと思います。

僕も間接的に一事業者として下の世代を鼓舞していますが、サンカクシャは直接的に支援している。自分の事業理念とつながるところがあると思っています。

宮本:関根さんには、すでに直接的に関わっていただいていると言っても過言ではないです。サンカクシャは、若者に対して私たちだけではできないことを、街の資源を活用してやっていきたいです。一緒に若者を見守る、育てていく仲間を増やしたいと思っています。今回、関根さんとすぐにご相談できる関係ができたことが本当にありがたいです。

関根:本来的にはサンカクシャという団体がなくても若者が支援される社会であるというのが一番良い姿ですよね。地域をつくっている僕らが大人としてやらなければならないのだけど、そこまで手が回っていない。

サンカクシャは、街の人たちと困っている若者を繋げるアタッチメント的な位置で、意識を変えさせる、ハッとさせるきっかけとなる活動だと思います。うちみたいな活動事例があれば、何かやりたいと思ってはいるけど、どうすればいいかわからない人も取り掛かりやすくする。街の人もそこを足がかりとして社会に参画していくというのが良いと思います。

荒井:サンカクシャは居場所やシェアハウスがあって温かい感じがメインですが、温かさだけでは難しいという限界も感じています。居場所に止まっていると自立を阻害している気がしていて、街に出ていって多少厳しい風にあたりながら自立に向かっていくのが良いと思っています。

ただその時に、まったくサンカクシャの繋がりがないところで失敗をするともっと自信を失くしてしまう。今回のケースのように、サンカクシャとして、若者を街に送り出していく役割をもっと担いたいと感じています。傷ついてそれを乗り越えて自信をつけていってもらいたいと、今日は強く思いました。
街の人に「やっちまえよ」と背中を押してもらって、挑戦して傷ついて帰ってくるというような、街の人との役割分担ができるといいと思います。

宮本:サンカクシャは傷ついたら帰ってくる、癒す場所ですね。
外に出たらいろんな人がいて、合う合わないもあるけど、世の中はそういうものだから、傷ついたらここに帰ってきて、またチャレンジしてほしいです。

荒井:どんどん放り出したい(笑)。サンカクシャは実家みたいなものだと思っていて、社会で撃沈しても手を差し伸べられる場所。でもそれだけではいけないと感じています。

関根:Aくんもうちでやってみてわかったことがあるよね。ネクストチャレンジは何かな?

Aくん:自分を知って言語化することが大事だと思って、少しずつやっています。仕事は人と人とのコミュニケーションの中でするものなので、そこを円滑にできるようにしたいという思いがありますが、まだいろいろ迷っています。

関根:映画、アニメ、漫画などに触れることも勉強になるよ。ストーリーやキャラクターから生きるためのヒントを得られるよ。

関根さんのおすすめの漫画は「キングダム」。この点で、キングダムをサンカクキチに全巻置いている荒井と意気投合。キングダムを読むことがAくんへの宿題となりました。

関根さん、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました!


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ライター

水上みさ

広報/ファンドレイジング

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2023.03.23