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活動報告

2023.02.10

東京藝大「卒展」に行きました! ーアートを介して繋がりを育むー

1月29日(日)、サンカクシャを利用している若者6名が、東京藝術大学の卒展(卒業・修了作品展)を、アート好きの大人のグループと鑑賞しました。

この企画は、アートと若者を繋ぐ活動をしているグループFlatart(フラッタート)とサンカクシャが協働で行ったもので、サンカクシャのオトナリサン(ボランティア)がFlatartのメンバーでもある縁から実現しました。

真冬の冷たい空気を日差しが温める日曜日の午後、参加者全員が上野駅に集合。会話をしながら上野公園を抜けて、藝大のキャンパスに向かいました。

キャンパス入場後、3つのグループに分かれ、自己紹介。初めましての緊張を解くために「好きなアイスは?」という質問をしましたが、若者から大人の知らないアイスの名前が出て盛り上がりました。

数百点の展示作品すべてを鑑賞することはできないため、事前に参加若者の興味を把握して下見をしたFlatartメンバーが、会場を案内しました。

2グループは彫刻棟、1グループは絵画棟へ。一緒に周る大人たちは、若者を見守りながら、時々声をかけて感想や気づきを共有します。

コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻がもたらした重苦しい環境の中で、制作活動が制限された学生さんたちが作り続けた作品の数々。参加した若者たちは、その作品から、アーティストとして自立を目指す上での葛藤や、コロナ禍で思うようにならない苦悩を、同世代として感じ取っていたようでした。

後半は3グループとも、幅広いジャンルの作品が並ぶ東京藝大美術館へ。

卒展は、学生アーティストたちの学生生活の集大成と言える力作が発表される場で、通常の美術展とは異なり、作品を制作したアーティストとその場で話ができることも魅力です。今回は3人の修士課程の学生さんにお願いして、作品の説明をしていただきました。

保坂朱音さん(美術教育専攻)の音が出る陶器の作品。ポヨンポヨンと温かい音を奏でます。
Kristyna Venturovaさん(ガラス工芸専攻)のビーズを繋げて焼いたガラス作品は、光を当てると美しく輝きます。
藤原早苗さん(日本画専攻)の作品「記憶」。見ている人が現在から過去へと記憶を辿っていくようなイメージで描いたそうです。

卒展巡りの後は、隣にある東京都美術館のレストランに移動。お茶を飲みながら、「藝大生の作品どうだった?」、「どの作品が気になった?」
などなど、スマホに収めた写真を見ながら話が弾みました。

最後は、駅に向かう途中の上野公園内にある卒展の看板の前にて全員笑顔で集合写真を撮影して、解散となりました。

以下に、参加したメンバーの感想を一部ご紹介します。

若者の感想

気になっていた藝大の学生の展示を見られたことや、その作品について色々な方と共有できたことがとても楽しかった。

絵そのものだけでなく展示の仕方にもそれぞれ特徴があって面白かった。スマホで見るだけではわからない横や縦の空間も含めて作品を鑑賞できてよかった。

絵の作者に説明してもらうのはとても新鮮だった。客観的に見ていた作品を説明してもらうことで、作者の目線で主観的にも見ることが可能になった。

…荒れた海原を行く船のように一寸先は闇の中のような精神の中で(学生たちは)耐え忍んだのかと思う。暗澹とした状況の中でもがき苦しんだであろう彼らに対して称賛を送らざるを得ない。

Flatartメンバーの感想

若者が熱心に作品を観賞し、作品解説を読みつつ自分なりに作品への解釈、理解を深めようとしている姿が印象的だった。

作品タイトルの「贖罪」は何に対する贖罪なのか、皆で考えるシーンがあった。私達も若者の視点から、作品について深く考え観賞することができた。

アートの力を改めて感じた。(アートを介してなら、はじめましての相手でも、親と子くらい年が離れていても、話ができる!)

若者が「藝大生だからそれなりのクオリティも求められるって言ってましたね」と言っていた。創作に向き合う学生さんのプレッシャーや気概が伝わったんだと思った。

コミュニティの輪の中で若者を見守る

このプログラムは、若者に多様な体験を通じて人や社会との繋がりをつくるサンカクシャと、アートを通して「人と作品」、「人と人」を繋ぐ活動をしているアート・コミュニケータの集まりであるFlatartが繋がることで生まれました。若者に、心を動かすアート作品、保護者でも先生でもない対等な関係でいられる大人、そして新しい自分に出会って欲しいという願いを込めて企画しました。

約2時間半の短い時間でしたが、初対面である若者とFlatartメンバーがアートを通して会話をする中で、個人の興味や将来のことなど、自然に話題が広がっていきました。そして「今度はあの展覧会を見に行きたいね」という話も出ました。若者の興味に寄り添って次の企画を考えていきたいです。

サンカクシャの活動は、ボランティア、地域の皆さん、若者にお仕事をくださるお店や企業の方々など、たくさんの大人によって支えられています。

今後も、サンカクシャを取り巻くコミュニティを広げたり繋げたりして、その輪の中で若者を見守っていく活動をつくっていきたいと考えています。

最後になりましたが、ご協力いただいた東京藝大修士課程の学生の皆さん、素晴らしい作品をご紹介くださり、ありがとうございました。


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2023.02.10