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2026.02.26
「もう一度、絵で生きたい」新拠点で開催する若者のはじめての個展
若者の就労支援拠点「サンカクスクエア」で、ひとりの若者によるはじめての個展が開かれます。描くのは、アーティストの中島絃(げん)くんです。
サンカクシャと出会い、生活や人との関わりに少しずつリズムを取り戻しながら、げんくんは一度辞めていた絵と再び向き合ってきました。
本記事では、げんくんの言葉を通して、絵を描き始めたきっかけや作品に込めた思い、そしてサンカクシャと出会ってからの変化についてお伝えします。
中島 絃(なかじま げん)
画家。サンカクシャの居場所支援を利用していた若者でもある。サンカクシャの新拠点「サンカクスクエア」で初めての個展を開催中。
学校に行かなくなり、絵から離れた3年間
――げんくん、個展開催おめでとうございます!まずはじめに「絵との出会い」について教えてください。
僕は実は小さい頃からずっと絵を描いていたタイプではなくて。小学校や中学校の頃はスポーツをしていたし、「美術一筋」みたいな子ども時代ではなかったです。
中学校に入ってから「自分は周りに馴染めていない」と自覚するようになったんです。
その頃から美術に惹かれて絵を描き始め、高校は美術系の学校に進学しました。
高校に入ってからは次第に学校へ行かなくなり、家からほとんど出ずに過ごす日々が続きました。
結果的に中退することになり、当時は一日中ゲームばかりして過ごしていました。
学校に行かなくなったことで生活リズムが崩れ、精神的にも落ちていたので、正直なところ、絵を描こうと思えない期間が長かったです。
絵を描かないまま、あっという間に3年が過ぎていきました。当時のことはほとんど覚えてないですね。

居場所で人と触れ合い、自然と絵を描きたいと思うように
――長い時間を経て、再び絵と向き合うようになったきっかけはなんですか?
もう一度絵に向かうようになったのは、働くことがどうしても自分には合わないと実感したこと、サンカクシャで人と交流するようになったことがきっかけです。
実家を出ることになり、「働かねば」という一心で期間工の仕事に就いたのですが、一日で契約解除されてしまいました。
ほかにも住み込みのアルバイトを転々としましたが、うまくいかず、一日働くだけでへとへとになってしまって。
自分は働くことが向いていないと心の底から思い、本当につらかったです。
でも、絵を描くことだけは違いました。時間と労力をかけても、あまりつらいと思わなかったですし、描いていると精神的に安定する感じがありました。
創作活動のように自分を出せるほうが真剣に打ち込める感じがしていて、絵を描いて生きていったほうがいいなと感じました。
サンカクシャとの出会いも大きなきっかけの一つです。実は絵を再開したのは、サンカクシャにつながってからなんです。
誰とも会わずにゲームをしていた頃は、ふとした時に将来の不安がよぎってしまい、不安をかき消すためにゲームに没頭する日々を送っていました。
サンカクシャと出会わなければ、本当に誰とも関わらなくなって、精神的にも削られていたと思います。
居場所に通うようになって人との接点ができて、気分転換にもなりましたし、自然とまた絵を描きたいと思うようになったんです。

以前、サンカクスクエア(※)でボランティアの方が企画したグループ展に参加したのですが、初めて人から絵を見てもらう経験ができて嬉しかったですね。
普段の創作活動においても、見られる意識を持たないといけないという学びにもなりました。
※サンカクスクエアは2025年夏にできた就労支援拠点です。Dans Trois Joursという飲食事業を中心に運営しています。
人間の身体に宿る、美しさと違和感
――人に見てもらうことを意識するようになった中で、今回の個展ではどのようなことを表現しようと考えたのでしょうか?
今回の個展は、僕にとってはじめての個展です。
会場はグループ展と同じ、サンカクスクエアです。正直に言うと、もっと全体のテーマをしっかり考えたほうがよかったかも、と思う部分もあります。
ただ、作品全体を通して、自分の中でずっと考えているのは、人間の肉体と美しさです。
最近ずっと人の身体ってすごいな、と感じています。
生き物としての人間には、醜さもあると思いますが、それと同時に、すごく美しい部分もあると思うんです。
僕が描いているのは、いわゆる「きれい」な身体だけではありません。歪みや違和感、内側から溢れてくるようなものも含めた身体です。
経済的な理由でモデルさんに依頼することが難しいため、制作するときは描きたい身体のイメージに合った写真をパーツごとにインターネット上で集めてラフを書き、頭の中のイメージに近づけています。

僕に会いに来て、作品と“対話”してほしい
――来場する方にはどんな風に作品を見てもらえたら嬉しいですか?
うまいかヘタかというよりも、何を考えて描いているのかを感じてもらえたら嬉しいです。
僕自身、人と接することが得意でもあり、苦手でもあります。
好きと嫌い、興味と無関心が、同時に自分の中に存在しています。そういった曖昧さが作品の中にもにじみ出ていると感じています。
人間って、どちらか一方だけじゃなくて、好きも嫌いも、美しさも醜さも、全部ある存在だと思っています。
展示空間で作品と向き合いながら、それぞれの人なりの「美しさ」を見つけてもらえたらいいな、と思っています。
日程は未定ですが、週に2〜3回在廊する予定のため、作品の感想をぜひ僕に会いに来て直接伝えてもらえると嬉しいです。
僕は美術大学に行っていない分、自分の作品を批評される機会がありませんでした。
今回の個展を通じて、ほかの人からの視点を得て、今後の制作に深みが出るようにしたいです。批判も大歓迎です(笑)
ぜひたくさんの人に見に来てもらって、作品について語り合いたいです。
サンカクスクエアで開催される、げんくんにとってはじめての個展。
それは、ひとりの若者が自分の表現をもう一度信じ、他者と共有しようとする、その過程のなかで生まれた場でもあります。
サンカクシャは、若者一人ひとりの生活と表現の両方に寄り添いながら、その歩みを支えてきました。
ぜひ会場で、げんくんの作品と、そこに込められた思いに触れていただけたらと思います。
中島絃 個展「絃」
■会期:2026/2/17(火)〜3/15(日)
※火・水・木・土曜 11:00–17:00
■入場料:無料
※併設されているビストロ Dans Trois Jours にて
お食事またはワンドリンク(500円)ご注文をお願いします
■会場:サンカクスクエア
東京都豊島区東池袋4-29-4
■アクセス:東池袋駅A6出口徒歩5分、池袋駅東口徒歩15分
※串カツ田中の前の細い路地の左手にある一軒家が会場となります
開催記念トークイベント(定員14名・先着)
■日時:2026/3/7(土)15:00–16:00
■入場料:無料(※ワンドリンク or お食事必須)
■定員:14名(先着順)
■お申し込みはこちら
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ライター
菊川恵
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2026.02.26