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活動報告

2026.01.16

【後編】事業の方針転換へ。若者とつくる就労支援の葛藤とこれから

サンカクシャでは、親を頼れない若者に向けて、居場所・住まい・仕事のサポートを一気通貫で行ってきました。

安心できる居場所や住まいを手に入れた若者たちの多くが仕事でつまづくことが多く、就労の一歩手前を支援するために生まれたのが「サンカクスクエア」です。

後編では、「サンカクスクエア」内で行った就労支援における葛藤と今後の方向性についてお伝えします。

“安心して失敗できる場所”の難しさと学び

7月8日から11月末までの間、週に2回「サンカクキッチン」という就労準備のための居場所を開設していました。

仕事もしくは勉強をすると、無償でビストロ用の本格的な厨房で作られた食事ができる取り組みで、若者支援の中では珍しい「日払い・現金手渡し」での仕事の提供も行ってきました。

日払い・現金手渡しの仕組みを取り入れたのは、闇バイトや貧困ビジネスにつながりやすい若者の多くが、月末締め・翌月払いのアルバイトをする経済的余裕がなく、目先のお金に困っていることが背景にあります。

サンカクキッチンでは、AIを使った企画書作成や着物をほどく仕事など、社会に一歩踏み出すことが怖い若者たちでも、拠点の中で仕事ができる仕組みを整えました。

しかし、課題に直面しました。

仕事の獲得が想像以上に難しかったのです。

依頼者にとっては、若者のキャラクターやスキルがわからない状態では発注がしづらく、「できることを言語化しないと、仕事は生まれない」という現実を痛感しました。

加えて、就労準備の場にしたかったにも関わらず、安心安全でお金も手に入ることで、一部の若者にとって「サンカクシャの外に出なくても済む場所」になってしまうという大きな壁にぶつかりました。

子ども時代から心身の暴力を経験していて大人が怖い若者たちにとっては、目先のお金が手に入るのであれば、わざわざ怖い思いをしてまで、社会に一歩踏み出す必要はないという気持ちになるのは当然のことです。

安心と挑戦はどうやったら両立できるのか?若者のことを考えれば考えるほど、悩ましい問いが浮かびました。

その結果、私たちはとても勇気のいる決断をしました。

サンカクキッチンの運営を止めて、方針を見直すことにしたのです。

若者のためにならないかもしれないことを安定的に続けるよりも、若者たちが自分の人生を諦めず、一歩踏み出せる形を模索したいと考えたためです。

一方で、サンカクキッチンを運営する中で、学びもありました。

日払いの仕事に取り組む中で、同じ仕事を経験している若者がほかの若者に自主的に仕事を教える姿が見られ、先行く先輩の存在が若者を支えることになるというヒントを得ました。

また、太陽有限責任監査法人による「簿記講座」やフォトスクールmonogatariによる「リール講座」などを通じて、若者がスキルアップしていける道筋が見えてきました。

「目の前の人の役に立ちたい」若者たちの秘めた願い

サンカクキッチンでの学びをもとに、サンカクシャでは、ハウスクリーニングをはじめとした清掃事業「サンカククリア」を立ち上げ、仕事の中で若者同士が育ちあえる環境づくりに取り組み始めました。

仕事づくりを始めた背景として、これまで一般的な就職活動にも伴走してきましたが、自信がなくて面接を辞退してしまったり、人が怖くて短期離職を繰り返したりなど、若者たちの多くが既存の枠組みに乗ることが難しかったことがあげられます。

数多くの仕事がある中で、清掃事業に取り組むことにしたのは、若者たちの言葉がきっかけでした。

働くことに一歩踏み出せない若者たちに、「いっそサンカクシャと一緒に事業を作らないか?」と声をかけたところ、みんな前向きな反応で、約10人の若者が集まってくれました。

どんな仕事をしたいか作戦会議したときに、満場一致で清掃事業が選ばれました。

若者たちが口を揃えて言っていたのは「目の前の人の役に立ちたい。喜んでいる姿を間近で感じたい」ということでした。

様々な逆境を経験し、自分の人生を諦めてしまっているように見えた若者たちも、実は人の役に立ちたい気持ちが心の奥底にあったのです。

清掃事業を手がけるアカンパニー合同会社からタイミングよくお声がけがあり、社長の本田さんとお話する中で、若者へのまなざしや振る舞いがサンカクシャに通じるものがあると感じ、協働を決断。

アカンパニー合同会社からみっちりワンシーズン研修をしていただきました。

最初の頃やる気に満ち溢れていた若者たちが、気づけば誰も研修に参加しなくなり・・・、最終的には代表の荒井とスタッフの中嶋だけが残りました(笑)

このままスタッフだけで清掃すると思いきや、荒井や中嶋が一所懸命取り組んでいると「自分もやってみたい!」と興味を示してくれる若者も出てきました。

清掃にチャレンジしたい若者には、中嶋がマンツーマンで丁寧に仕事を教えています。

実は中嶋は元サンカクシャの利用者で、かつての自分のような若者を支援したいという思いを持って活動しています。

若者たちは短期離職やスポットワークの経験しかなく、先輩から育ててもらったことがない若者も少なくありません。

中嶋の存在は、若者たちにとって、はじめての面倒見のよい先輩との出会いとなっているのです。

それだけではありません。

清掃を申し込んでくれた方から「私も若者支援に関わることができて嬉しい」という声をいただきました。

単純に家がきれいになるだけでなく、清掃を頼むことで若者たちの仕事の応援につながるのです。

家庭の事情で住まいを失い、進学が叶わなかった若者たちが、スキルアップしていく様子を間近で見ることもできます。

「仕事をお願いする」という、寄付でもない、直接若者と関わる形の支援でもない、新たな支援の形を生み出せたように感じています。

今後は事業の立ち上げだけにとどまらず、アカンパニー合同会社と協働して、若者に向けた清掃の職業訓練を模索していく予定です。

将来的にはサンカクスクエアを活用し、様々な職業訓練を生み出していきたいと考えています。

職業訓練検討の中で、オフィス機能を持たせるかどうかについても、併せて検討していきます。

ぜひ引き続き応援をよろしくお願いいたします。

>>>「【前編】若者もスタッフも挑戦できる場所 ― サンカクスクエアの今」はこちらから

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ライター

菊川恵

活動報告

2026.01.16