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活動報告

2023.07.25

「巨匠の名作を観に行こう」国立西洋美術館で作品鑑賞 〜じっくり観ながら他者の視点に触れる〜

7月16日(日)に、サンカクシャ アート部と、若者とアートをつなぐ活動をしているグループFlatart(フラッタート)*の協働企画で、サンカクシャの若者が上野の国立西洋美術館常設展を鑑賞しました。

猛暑の影響もあってか、参加若者は2名でしたが、涼しい美術館の中でゆったりと絵や彫刻を鑑賞した後、場所を移して各自が気に入った作品について写真を見ながら語り合いました。


灼熱の太陽が照りつける日曜の午後、参加者は上野駅改札に集合後、国立西洋美術館に移動しました。


涼しい建物の中に入り、Flatartメンバーと若者で自己紹介。参加若者は昨年の東京藝大での企画の参加者でもあったため、「また会えたね」「久しぶり〜」の声も聞こえました。

まずは、A・Bの2グループに分かれ、常設展の会場内を一通り巡ります。14世紀から20世紀までの数々の名画や彫刻をみながら、時々若者が気になった作品の前で立ち止まり、気づいたことや感想を話しました。

鑑賞モードに入ったところで、2つの作品で対話型の鑑賞をしました。

1つの作品をグループで15分ほど時間をかけてゆっくりみながら、それぞれが感じたこと、考えたこと、不思議に思ったことなどを共有します。この鑑賞では、Flatartメンバーがファシリテータ役として、「この絵の中で何が起こっていると思う?」と問いかけ、他のメンバーはそれぞれ思ったことを共有していきます。互いの発言に耳を傾け受け止めることで、新たな気づきが生まれ、作品をより深く味わうことができます。同じ作品をみても、人によって感じ方が異なることを体感するのも面白い点です。

今回、鑑賞した作品は、Aグループはムンクの「雪の中の労働者たち」とロダンの「考える人」、Bグループはモネの「船遊び」とムンクの「雪の中の労働者たち」です。

「考える人」は誰でも知っている有名な彫刻ですが、じっくり細部を観察したり、同じポーズをとってみることで作品の中の人物の心情を読み取ったりしました。

「船遊び」の前では、ソファーに座ってくつろぎながら鑑賞し、「どんな人が船を漕いでいるのか」など想像を膨らませ、絵の世界に入り込んでいきました。

「雪の中の労働者たち」は、撮影禁止のため写真を撮れませんでしたが、ムンクといえば思い浮かべる「叫び」とは異なる画風の作品で、描かれている人物の握りこぶしの様子から過酷な状況にあった労働者の気持ちに思いを馳せたりしながら鑑賞しました。

その後は、各自が自由に鑑賞する時間とし、好きな作品や気になった作品をスマホで撮影しました。

自由鑑賞を終え、美術館前庭の「地獄の門」(ロダン作)の前で集合写真撮影。近くの会議室に移動しました。

ここでは、お茶を飲んでくつろぎながら、各自が撮ってきた作品の写真をiPadでみて、気になった点を理由を交えて共有しました。「どうしてなんだろうね」「私はこう思った」などと会話しながら、皆で作品をみて考えることの楽しさを感じる時間となりました。

作品についての語らいの時間はあっという間に過ぎ、語り足りない気持ちを残しながら終了時間となりました。

今回参加した若者たちは、絵の色彩や質感など隅々までよく観察して言葉をつむいでいました。また、時間が経つにつれ表情が豊かになり、大きな手振り身振りで発話している姿もみられました。アンケートでは、
「皆さんと展示物を共視することによって『こんなみえ方があるんだ。ここに注目するんだ』などの新たな視点、着想、考察に触れられてとても有意義に過ごすことができました」
「年代ごとに様々な絵画があったので、その中から気になる絵をみつけるのが楽しかったです。遠くから見ると精巧な絵に見えるのに近くで見ると意外と大まかに描かれていることがわかるなど、実際に見ることで気づけることがあったのでよかったです。」
などの感想を共有してくれました。

Flatartメンバーたちも世代の違う若者との鑑賞を楽しみ、
「若者の鋭い観察力から発せられる言葉に、たくさんの発見がありました。」
「印象的だったのが、アートの前では誰もがフラットであったこと。若者とFlatartメンバーがアートを通して気づいたこと、感じたことをお互い自由に発言し、一方的ではない、循環した学びが展示空間に広がっていました。」
と振り返りの声を寄せてくれました。

アート部では、これまで東京藝術大学や美術館、ギャラリーでの作品鑑賞やアーティストとの交流を中心に活動してきましたが、若者から「インプットをたくさんしたので、今度はアウトプットとして創作をしてみたい」、「絵が上手くなりたいので、描き方を教えてもらいたい」などの希望が出てきました。今後、若者の興味に添いながら活動の幅を広げていく予定です。その中で、さまざまな大人やアーティストの方々との出会いも作っていきたいと考えています。

*Flatart(フラッタート):アートを真ん中にした「人と人」「人とアート」の出会いの作り手として、若者とアートをつなぐ活動をしているグループ。若者がアートを通じて様々な価値観に触れ、その過程で親でも先生でもない大人やアーティストに出会うことで新しい自分を発見し、一歩前に踏み出すきっかけとなるような体験作りを模索しています。


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